<はじめに>
第1問の最終問(問6)は、それまでの設問で問えなかったことを「後片付け」的に聞いてくるケースが多いです。過去問を見てみると、(1)「表現」を問うもの、(2)「論理展開」を問うもの、(3)「内容」を問うものの3つに分類可能です。特に頻出なのが「論理展開」を問うもので、(2017年現在)ここ10年の問題を見てみても、2009年・2015年の問題を除けば、最終問の中に論理展開に関する問題が必ず含まれています。この問題は、まさに「読み方」を聞いているようなもので、段落ごとに「役割」「要点」が把握出来ているかを問う問題だと言えます。
さて、こうした最終問の設問では、選択肢を1つ1つ吟味していくことが中心になるため、どうしても時間がかかってしまいます。「1つ1つ、本文を参照しながら確認せよ」と言う講師が多く、正攻法でよいのですが(テクニックに走る講師の教えに比べれば数倍マシです)、試験時間との戦いの中でそれが可能かという現実面を考慮すると、少し改善の余地があるように思います。事実、今回の問6では、(i)と(ii)で合計8個選択肢があるなかで、(i)の②、③、④、(ii)の③の少なくとも4個に関しては、本文に戻らずとも正誤が判定出来ると思います。しかも、(ii)の場合、③が答えですから、結果的には本文に戻らず解答が確定してしまうことになります。もちろん、これら以外の選択肢については本文に戻って吟味する必要がありますが、それでも、「役割」「要点」をつかんだ読み方がしっかり出来ていれば、読んでいる段階で既に論理展開のチェックが出来ているのですから、相当早く正誤判定が出来るはずです。
今ここで述べた「解くスピードの上げ方」は、決してテクニックではありません。文章の読み方を徹底することで結果的に解答スピードも上がる、というだけの話です。ですから、設問で問われているかどうかに関わらず、論理展開や論理構成を整理しながら本文を読む力をつけて、こうした問題への対応力を強化していってもらえればと思います。
<授業動画>
スイショウ
小学校時代は弟の受験指導、中学校時代は友人への定期テスト対策指導、高校時代は家庭教師、大学時代はYouTubeでの無料講義配信…と、昔からさまざまな形で「教える」ということをしてきました。得意分野は「現代文」の指導です。文章を読むこと、解くことがどんな作業なのかを明らかにしながら、皆さんの学力UPのために尽力できたらと思っております。